とまにちは。とまとま(@toma_moneykatsu)です。
海運のバブルが崩壊していることをご存じでしょうか。
なぜ海運バブルが崩壊しているのか、本記事にて解説していきたいと思います。
✅ 海運バブルだった理由
✅ 海運バブルが崩壊している理由
✅ 見るべき海運指標2つ
結論
まず、この記事の結論について、以下に記載します。
✅ バブル崩壊は海運指標の悪化が原因
✅ 指標悪化は海運市況の正常化が原因
✅ 海運指標はバルチック海運指数とCCFIを見る
海運バブルが崩壊している理由は、「バルチック海運指数(BDI)」と「CCFI」が下落しているためです。
なぜ、これらの指数が下落しているのか。とまとま独自目線で解説していきます。
バルチック海運指数(BDI)とは

バルチック海運指数(BDI:Baltic Dry Index)は、海運でも最も知られた指標の一つです。
この指標は、不定期船の運賃に関するものであり、1985年1月4日を1000として、運賃の変動を指数化したものになります。
指数が上昇すれば、運賃が上昇しているということになりますので、海運にはプラスとなります。
逆に指数が下落すれば、運賃も下落するので、マイナスとなります。
よく勘違いをされている方がいらっしゃるのですが、この指数はあくまでも不定期船に関するものであり、定期船(コンテナ船)の運賃ではありません。

不定期船とは、定期船以外の船舶のことであり、不特定の航路を不定期に就航します。
不定期船には、様々な種類があり、具体的には以下の船舶が挙げられます。
✅自動車輸送船:国内外で製造された自動車を各国のお客さんへ輸送する船舶
✅ドライバルク船:鉄鉱石、石炭、穀物、塩、銅鉱石といった固形系資源を輸送する船舶
✅エネルギー輸送船:原油やLNG、液体化学製品のなどエネルギー関連製品の輸送をする船舶
※ドライバルク:ドライ(乾燥)とバルク(ばら積み)という単語の合わせ言葉
CCFIとは

CCFI(China Containerized Freight Index)は、中国から出発する定期船の運賃を指標化したものになります。
定期船とは、いわゆるコンテナ船のことであり、決まった寄港地や航路を定期的に就航する船舶のことです。
中国は世界の工場とも呼ばれ、中国から世界各国へ製品が輸出されます。
そのため、中国のコンテナ運賃を確認することで、世界の荷動きを大まかに把握することができます。
定期船の運賃は、2020年の半ばあたりから急上昇し、2022年半ばから下落に転じていることが分かります。

なぜコロナ禍で海運は好調だったのか

コロナ禍で海運が好調だった理由について、主に以下の4点が挙げられます。
✅ コロナ禍からの経済活動回復による需要増
✅ 商品市況の上昇による需要増
✅ 港湾の渋滞によるコンテナ不足で供給減
✅ 需要増加による船舶不足で供給減
いずれも、経済再開に伴う需要面の増加と需要に追い付かない供給側の問題によって、大きく需給バランスが乱れて、コンテナ価格が急騰し、海運の業績を押し上げました。
この状況が2022年の半ばまで続いたことで、さらに利益を押し上げ、2021年~2022年の積極的な株主還元に繋がりました。
なぜ各指数は下落に転じたのか
バルチック海運指数やCCFIは2022年7月を境に下落に転じています。これはなぜでしょうか。
これは以下の理由が考えられます。
✅ 船舶の渋滞緩和
✅ 世界経済の減速(需要の減少)
✅ 商品市況の後退
そもそも船舶の渋滞は、荷下ろし作業員を確保できていなかったことで、コンテナの荷下ろしができなくなり、港湾に船舶が居座ることになりました。
その結果コンテナが不足して、コンテナ運賃が急上昇したわけです。
そして、2022年の半ばを過ぎたところで、荷下ろし作業員を十分に確保できたことで、荷下ろしがスムーズに行われ、船舶の渋滞が徐々に解消され、コンテナ不足が解消⇒コンテナ運賃の下落につながりました。
また、世界経済の減速については、世界各国中銀が実施している急速な利上げによって引き起こされております。この利上げにより、経済活動が減速及び後退する懸念があることから、コンテナ需要が減少し、コンテナ運賃の下落へと繋がりました。
商品市況の下落は、そもそも商品の需要が少なくなれば、輸送するものが少なくなるので、コンテナ運賃は下落してしまいます。
以上のことから、現在海運は厳しい状況にあると言えます。
海運バブル崩壊なのか

これは私の意見ですが、海運バブルは崩壊したと言って良いでしょう。
特に、業績を押し上げたコンテナ運賃は、コロナ前の水準から大きく上昇しており、かなり高い水準にあります。
ここから上昇に転じたり、高い水準をキープできるような強い材料は見当たらないため、今後中長期的にみても下落基調が続くと考えられます。
また、配当面についても、今後もこの高水準をキープし続けることが難しく、いずれは減配されると思います。
減配は株価下落要因の一つでもあるため、そういった面でも、海運の株価の見通しは良くないと思います。
まとめ

今後、各海運関連指数については、コロナ前の水準までは下落することが想定され、それに連動する形で株価も下落していくものと考えられ、これから厳しい時代に突入していくことが予想されます。
配当が高いから投資するという考え、投資をすると痛い目に遭う可能性があります。
しっかり海運を取り巻く環境を理解した上で投資することをおすすめします。
コメント