どうも、とまとまです。
前回はISM製造業景気指数という経済指標の観点から、株価の底入れ目途について解説しましたが、
今回は、米国の長短金利差に着目したいと思います。
なぜ米国の長短金利差に着目して、分析したのか。。。
それは、長短金利差とリセッションの間には深い関係があり、ここを分析することで、株価の底入れ目途を見出すことができるのではないかと考えたからです。
すこしでも、参考になればうれしいです。
では解説に進んでいきましょう。
長短金利差とは
米国長短金利差とは、長期国債の利回りと短期国債の利回りの差のことを言い、一般的には、長期金利:10年国債利回り、短期金利:2年国債利回りを指します。
算出方法はとてもシンプルで、「長期金利-短期金利=長短金利差」を求めることができます。
長期金利は短期金利よりも高いので、長短金利差は通常プラス圏となります。
しかし、経済の先行きが懸念されるようになると、長短金利差がマイナスになることがあります。
実際に積極利上げによる景気後退の懸念が上がっている2022年では、長短金利差がマイナスとなり、いわゆる逆イールドが発生しました。
逆イ―ルドとは、リセッション入りのシグナルとして知られており、過去に逆イールドが発生した局面では、すべてリセッション入りとなっております。
なぜ、景気後退懸念時に、逆イールドが発生するのでしょうか。
このあたりについては、以下の記事に解説しておりますので、そちらをご確認ください。
それでは、過去リセッション時の長短金利差がどのように推移したのか確認していきましょう。

リセッションと長短金利差について
前述でも触れましたが、長短金利差がマイナスになると必ずリセッション入りしています。
では、過去のリセッション時に長短金利差がどのくらいの差が出たのでしょうか。
早速見ていきましょう。
以下の表に、リセッションが生じたときの長短金利差(最大幅)とその時の株価下落率をまとめました。

見て頂くと、長短金利差がマイナスになると、確かに株価が大きく下落していることがわかります。
本題の長短金利差と株価下落率の関係についてみてみると、
長短金利差が大きかったITバブルよりもリーマンショックの方が株価下落率が大きかったり、
リーマンショックよりも長短金利差が大きかった湾岸戦争では、株価下落率が低かったりと、
傾向となるようなものは、読み取ることができず、両者に相関関係が無いことが分かりました。
コロナショックは他のリセッションとは別かと思いますが、それを無視したとしても、長短金利差と株価下落率に相関関係があるとは言えませんでした。
ちなみに、10年国債と3か月国債の金利差でも分析をしてみました。
こちらについても、長短金利差がマイナスとなると、株価は大きく下落しますが、長短金利差と株価下落率とは相関関係があるとは言えませんでした。
以上より、長短金利差と株価下落率には相関関係がないことが判明しました。
このことから、長短金利差がマイナスになるかどうかさえ確認しておけば、問題ないかと思います。

ここからは余談ですが、ITバブルでは、新興企業やハイテク企業などの高PER企業が多いナスダックを中心に下落し、その株価下落率はなんと-77%に達しました(ひぇ~)。
一方S&P500は、株価下落率が-45%とナスダックに比べてマシでした。バリュー株も構成されている分、下落がマイルドになったんでしょうね。(とは言っても-45%下落は恐ろしいですね。。。)
- 長短金利差がマイナスになると必ずリセッション入りする
- 長短金利差と株価下落率に相関関係は無し
- 長短金利差はマイナスになるかどうかを確認すればよい
まとめ
長短金利差と株価下落率の関係について、分析しましたが、両者に相関関係はないことが分かりました。
2022年8月では、ITバブル以来の長短金利差を記録しているようですが、株価がITバブルと同等の下落率になるかどうかは、判断できません。
しかし、長短金利差がマイナスとなったという事実は間違いないので、リセッション入りすると考えた置いた方が良さそうです。
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