2022年3月のFOMCにて、FRB(連邦準備制度理事会)は利上げすることを正式決定しました。
また、年内のFF金利を1.75~2.00%に引き上げ示唆や、早期のQT実施を示唆しており、
FBRがタカ派色を強めております。
株式市場には強い逆風が吹く中、米国の主要3指数は大きく下落したものの、3月のFOMC以降、反発の兆しを見せておりますが、2022年の3月と4月に「逆イールド」が発生しました。
逆イールドが発生したことで、リセッション入りするのではないかとの思惑が広がりつつあるようです。
その逆イールドについて、改めてどのようなものなのか、マーケットにはどのような影響を及ぼすのか、なぜ逆イールドが発生するのか、解説していきたいと思います。
逆イールドとは

逆イールドとは、長期金利と短期金利が逆転することをいいます。
通常、償還期間が長期になるほど、利回りは高くなるので、図中の黒線のようなグラフとなります。
しかし、逆イールドは、短期金利が長期金利を上回るので、図中の赤線のようなグラフとなります。
そもそも、短期金利より長期金利の方が高くなるのは、国債を保有する期間が長期になるほど、リスクにさらされる期間が長くなるので、そのリスク分金利が高くなっております。
また、長期国債を購入すると、資金回りが悪くなるので、短期国債よりも買われない傾向にあるため、短期金利よりも長期金利の方が高くなります。
ですが、景気後退期になると、まれに長期金利よりも短期金利の方が高くなることが起こります。
では、なぜこのような逆転現象が起こるのでしょうか。
・イールド・・・長期金利が短期金利よりも高い状態
・逆イールド・・・短期金利が長期金利よりも高い状態
なぜ長短金利が逆転するのか

これにはいろいろ考え方があるようですが、私は以下の考えで認識しております。
そもそも短期金利は、主に中央銀行の政策金利を反映し、長期金利は市場参加者の将来の経済の見通しを反映します。
これを踏まえて、一般的な考えてみますと、

現在FRBは3月から利上げを開始し、かなり急な利上げで短期金利は上昇しています。
一方、将来の経済の見通しに不安を感じることで、市場参加者は株式よりも安全でかつ高利回りの長期国債を購入し、債券価格が上昇し、長期金利は低下または鈍い上昇をします。
このようにして、短期金利が上昇、長期金利は下落するという構図が生まれ、逆イールドが発生します。
2022年3月、4月の逆
・短期金利・・・利上げ期待で金利が上昇
・長期金利・・・将来の経済の見通しに不安を感じ、市場参加者が長期国債を購入し、金利が低下または鈍い上昇
⇒短期金利上昇、長期金利低下で逆イールドが発生
逆イールドになると何が起こるのか
1980年以降で逆イールドは4度発生しておりますが、その後100%の確率でリセッション入りしています。
ただ、逆イールドが発生した途端にリセッション入りするわけではなく、ある程度の時間を経てから、リセッション入りします。

上記の図は、長短金利差と景気後退期を表したものになります。尚、コロナショック時にも逆イールドが発生しておりますが、非常に特殊であるため、説明から除外しております。
※長短金利差は「長期金利(10年国債利回り)-短期金利(2年国債利回り)」で表され、0%を下回ると逆イールドとなります。
1989年、2000年、2006年あたりで、長短金利差が0%を下回っておりますが、米国経済が後退したのは、1年から2年を経てからリセッション入りしております。
したがって、直ちに対応する必要はないようです。
・逆イールド発生は100%の確率でリセッション入りする。
・リセッション入りは逆イールド発生から1年~2年後とタイムラグあり
私たちはどのように対応すれば良いのか?

上記で述べたように、リセッション入りするまでは、タイムラグがあるので、直ちに投げ売りしなくても良いです。
冷静に対応することが大切です。
思いつく対策は、以下となります。
- 現金保有率を高める
- 空売りを仕掛ける
やはり、下落局面に対して、強気に買い挑むのは無謀だと感じます。
下落局面には下落局面なりの戦い方があります。
やはり、流れに逆らうことなく、その流れに乗る(順張り的考え方)のが一番良いかと思います。
・現金保有率を高めて、底打ちを確認してから、買い出動する
・空売りをして、下落トレンドに乗る
まとめ
2022年3月に続き4月にも逆イールドが発生しました。
この結果を素直に受け止めると、早くて2023年3月にはリセッション入りすることになります。
とはいえ、リセッション入りまで時間はありますので、しっかりとした対策を練れば、
乗り越えることは可能です。
徐々に現金保有率を高めたり、空売りを仕掛けることで、下落局面に立ち向かいましょう。
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