株式投資をやっていくうえで、金利の動向は重要になりますが、その中でも実質金利について、ご存じでしょうか。
株式投資をしていれば、よく耳にするワードだと思います。しかし、今までその意味についてあまり考えておりませんでした。
実質金利とは何なのか。また、実質金利が変動することで、株式市場にどのような影響があるのか。
そのあたりに着目した解説を交えつつ、イメージしやすいように図解を交えて、説明していきたいと思います。
実質金利とは
実質金利とは、名目金利から物価の増減を加味した金利のことを指します。
・・・なるほど、わからんですね。。。
すこしひも解いて、解説していきます。
実質金利は、名目金利に物価の影響を加味したものになりますが、これを計算式に置き換えると以下のようになります。
実質金利=名目金利-期待インフレ率
式自体は複雑ではなく、むしろ簡単です。まずは、個々のワードの意味を理解しましょう。
名目金利とは、物価上昇を加味しない金利のことを言います。具体的には普通国債の利回りのことであり、一般的には10年国債の利回りが使用されます。ちなみに銀行預金の金利はこの国債利回りを参考に決定されております。
また、期待インフレ率とは、企業や消費者が予想する将来の物価上昇率のことを言います。具体的には物価連動国債の利回りを指し、実際に物価連動国債というものがあります。物価連動国債の詳細については、財務省のホームページに記載がありますので、そちらをご確認ください。
以上を踏まえると、上記の式は
「実質金利=国債利回り-物価連動国債利回り」
のように表現しなおすことができます。実質金利を求める際は、こちらの式の方が、求めやすそうですね。
実質金利・・・名目金利から物価の増減を加味した金利
名目金利・・・物価の増減を加味しない金利。普通国債の利回りを指す
期待インフレ率・・・企業や消費者が予想する将来の物価上昇率。物価連動国債利回りを指す
実質金利と株式市場の関係について
実質金利がどのようなパラメータで成り立っているのか、前項で説明しました。
ここからは、実質金利がプラスマイナスゼロの時、プラスの時、マイナスの時、と場合分けをし、そのときの株式市場への影響について、図解を交えながら整理していきたいと思います。
実質金利がプラスマイナスゼロ
実質金利がプラスマイナスゼロということは、名目金利と期待インフレ率が同じということになります。
以下の例をご覧ください。
例えば、手元に100万円があったとして、この100万円を銀行預金に回した場合と100万円のトマト宝石を購入した場合で考えてみます。このときの市場は以下のようになっていたと仮定します。
預金の場合、銀行から元本+利息で103万円を受け取ることができます。
トマト宝石購入の場合、物価上昇によって、トマト宝石の価値が103万円に上昇していました。
このとき、預金またはトマト宝石を購入したとしても、金額面では差がないため、どちらを購入しても損はないことになります。
実質金利がプラスの場合
実質金利がプラスということは、期待インフレ率よりも名目金利のほうが高いということになります。名目金利>期待インフレ率
これを踏まえて、以下の例をご覧ください。
預金の場合、銀行から元本+利息で105万円を受け取ることができます。
トマト宝石購入の場合、物価上昇によって、101万円に価値が上がっていました。
預金とトマト宝石購入を比較した場合、預金の方が利益が出ていることがわかります。
これは何を意味するかというと、トマト宝石を購入するよりも、預金した方が多くお金を受け取ることができると解釈できます。すなわち、お金の流れがモノ⇒預金に向きやすくなります。
これは株式でも同じことが言えます。
お金の流れが株式から預金へ向かいますので、株式市場への資金流入量が減少するので、株価は下がりやすくなります
実質金利がプラス ⇒ 株価が下がりやすい
実質金利がマイナスの場合
実質金利がマイナスということは、名目金利よりも期待インフレ率のほうが高いということになります。
名目金利<期待インフレ率
これを踏まえて、以下の例をご覧ください。
預金の場合、銀行から元本+利息で101万円を受け取ることができます。
トマト宝石購入の場合、物価上昇によって、105万円に価値が上がっていました。
預金とトマト宝石購入を比較した場合、トマト宝石を購入した方が利益が出ていることがわかります。
つまり、預金するよりも、トマト宝石を購入する方が多くお金を受け取ることができると解釈できるので、お金の流れが預金⇒モノに向きやすくなります。
同様に、お金の流れが預金から株式へ向かいますので、株式市場への資金流入量が増加し、株価は上がりやすくなります
実質金利がマイナス ⇒ 株価が上がりやすい
実質金利と株価は必ずしも逆相関ではない
前項では、実質金利と株価は逆相関関係にあると申し上げましたが、あくまでもそれは机上の話です。
ここで過去のチャートを振り返ってみましょう。
上記は、横軸が時間、左縦軸が実質金利、右縦軸がS&P500のチャートになります。
2018月10月以降は、実質金利と株価は逆相関関係となっておりますが、2017年1月から2018年9月の期間は、実質金利はプラス圏で緩やかな上昇に対して、株価は下落せずに、右肩上がりとなりました。
必ずも逆相関関係にあるという認識は捨てたほうが良いのかもしれません。
なぜ実質金利は重要なのか
実質金利はなぜ重要なのでしょうか。それは、資金流入先の判断材料になるからです。
資産を増やそうとした時、銀行預金の金利(名目金利)が5%と高かったので、預金を選択したとします。しかし、期待インフレ率が6%であれば、モノ(株式含む)へ投資した方が、リターンが大きくなるので、預金の魅力度は低下してしまいます。
そうすると、モノへの資金流入量が増えますの、株価が上がりやすくなると予想することができます。
実質金利の動向をみることは、今後の投資先の判断材料になりますので、重要な指標になります。
まとめ
今回は実質金利について解説しましたが、改めて要点をまとめたものを以下に示します。
実質金利がプラス⇒株価下落傾向
実質金利がマイナス⇒株価上昇傾向
⇒実質金利と株価は逆相関関係にある
難しいイメージがありましたが、そこまで難しくなかったと思います。
実質金利も投資の判断材料の一部として頭にいれつつ、今後の投資に役立ててください。
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